TSU-RU’s blog

TSU-RU(つーる)は、社会運動とあなたを繋ぐプラットフォームです。社会運動に関する情報発信を通じて、社会をより良くするために誰もが声を上げられる環境と、声を上げる人が支援される文化の構築を目指します。

社会運動を持続可能にするためのメンタルケア情報を発信

アクティビストインタビュー : MASAさん (OUR ANXIETY)

 

TSU-RU(つーる)は社会運動とあなたをつなぐプラットフォームです。社会運動に関する情報発信を通じて、社会をより良くするために誰もが声を上げられる環境と、声を上げる人が支援される文化の構築を目指しています。そしてまずはじめにわたし達は、実際に活動するアクティビストの皆さんを紹介する記事を書いていきます。記事を通して読者の皆さんにとって「アクティビストってこういうことをする人なんだ」「こんな活動が世の中にはあるんだ」「こんな社会課題にアプローチする方法があるんだ」等々、何か社会運動に対する新しい発見がありますように。

 

第一弾の記事では、社会運動のメンタルヘルスケア情報を発信する「OUR ANXIETY」を立ち上げたMasa(まーさ)さんから、今までの活動とこれからの活動について聞きました。

 

MASAさん
北海道出身、大阪在住。働きながら大学で心理学を専攻中。趣味はサーフィン。好きなものは本屋さんの匂い、コーヒー、古着。

 

—今の活動に至った背景、取り組んでいるテーマに関心を持った理由を聞かせてください。

気候変動の活動を始めたのは約3年前からです。GreenTEAというコミュニティに参加し始めたのがきっかけでした。元々、その前から大阪でサーフィンをしていたので、海洋汚染の話題が身近にありました。Netflixでも海洋汚染関連や気候変動関連のドキュメンタリーを沢山見ていたのですが、その話題を伝えられる人が身近にいなくて。小野りりあんさんの発信で知ったGreenTEAが、まず話題を共有できるはじめての場所でした。

その後、2年くらい声をあげる中で疲れてしまっていたタイミングで入ったのが、気候訴訟ジャパンの活動です。オランダでの気候訴訟勝訴のニュースを見た時、その時点で燃え尽きていた私は、なるべく早く気候危機対策が進んで、声をあげなくてもよい社会になる手段があるならやろうと、参加するようになりました。

そして今年8月に立ち上げたOUR ANXIETYに至るのですが、その背景には燃え尽きや自分自身の幸せへの問い、周囲のアクティビスト達の疲れ具合をみて、社会のために動いている人達なのになぜ?と疑問を感じたことがそのきっかけです。今は、心理学部に編入し学生をしながら、得た知識を発信するのと、公認心理士や臨床心理士がアクティビストをサポートするシステムを作りたいと思っています。

OUR ANXIETY の Instagramアカウント

 

—約3年の活動、なぜ頑張り続けることができているのでしょうか。

頑張り続けられてはいないです。何度もバーンアウトして立ち止まっています。気候危機を知ってから最初の1年間は怒りのパワーで走ることができましたが、その後燃え尽きてしまいました。そして活動とは関係のない過ごし方をして問題を忘れようとしたこともありましたが、やっぱり問題を忘れることもできませんでした。なので今は、声をあげることで自分を好きになれるかもしれない。自己受容のためにも活動し続けています。活動と私自身は切っても切り離せないです。

—活動を続ける上で大事にしていることや、自分の生活と活動とのバランスのとり方で意識していることがあれば教えてください。

活動を続けることに関しては難しくて悩んでいたのが正直なところです。今までは気候危機に関心がなかったりアクティビストではない人達に対して焦りや、今考えると恥ずかしいのですが、みんなの為にやっているのにという自負が少なからずあったと思うんですね。また、より善い人でないといけないと自分の首をしめてしまっていた時期がありました。でも最近は、アクティビストではない人たちにすごく支えられているなと感じていて、アクティビズムではないこと、友達と遊ぶとか、家族とご飯を食べるとか、犬とじゃれあうとか、そういったことを意識して大切にするようにしています。それと合わせて、生産性のないように思える時間をどれだけ確保できるかが大事だとも思っていて、ミーティングがある日は料理や洗濯はしなくてよいと自分を許したり、ベッドの上でピザを広げ映画を見るような利己的な自分、自分だけを癒す時間を認めてあげるようにしています。

OUR ANXIETYの発信内容の一例(Instagramより)

 

—社会運動をやっていてよかったことはありますか。

燃え尽きを経験する中でも、社会運動をやっていてよかったと思うことはあります。

まず一つ目は、仲間ができたことです。社会運動に参加することを通じて、同じ社会問題に声をあげる友達ができました。そして2つ目は、自分が持っている社会的地位に気づけたことです。社会問題を調べて声を上げる中で、自分の立場がある人から見た時にいかに恵まれているのか気づくことができ、他の人に対する優しさや想像力が今まで以上に湧いてきたように思います。例えば、見た目には見えない部分、心をケガしていたり、人権的にひどいことをされているかもしれないなどと想像しながら、目の前の人を俯瞰してみるようになりました。

 

—社会運動を始める前と今の「社会運動」についてのイメージ変化があれば教えてください。

社会運動を始める前は、怖いというイメージでした。街頭で叫んでいる人を見ると怖いし、恥ずかしいというイメージがありました。そして社会運動は参加する敷居も高く感じていました。ですが、参加するようになってからは、社会運動は怖いのではなくやさしいと気づいたり、敷居の高いイメージは世論が作っているだけでなく、もしかしたら、アクテビティストである自分自身が、いつの間にか自負を抱き、作り上げてしまったのかもしれない、その緊張感が無意識的に相手に伝わってしまっているのかもと考えるようになりました。私は、アクテビティストでない人の声を受け入れ、同じ目線に立つことを大切にしていこうと思いました。

 

—活動をする中で大切にしている価値観があれば、教えてください。

「誰も置いていかないこと」が目標で、大切にしている価値観です。自分自身も最初はアクティビズム初心者でした。そして活動に参加するみんな一人ひとりに異なるバックグラウンドがあり、表には出せないつらさがあったりします。表面化されないつらさを背負っている人達が声を上げることは勇気がいります。それでも、「声を出さなくてもアクティビズムはできる」「等身大の自分でいいんだよ」ということを大切に、「誰も置いていかない」活動をしたいと思っています。例えば、体調不良でデモに参加できなくても、その代わりに誰かに参加のバトンを渡したと考えたり、今は自分のターンではなく他の人が走ってくれていると考えたり。次にそのバトンが自分に回ってきたときに、何かできれば良いんだと思います。

 

Masaさんが目指している社会の姿は、どんなものですか。

大きく言うと、公正な社会です。身近なところで言うと、心理士が社会問題とタッグを組んでいる社会を目指しています。社会問題が原因で心を病んでいる人が多い中、対処療法はもちろんですが、心理士が社会問題への関わりをサポートできたら、良い社会になるのではと思っています。この目指す社会に向けて、まずはOUR ANXIETYの活動をがんばっていきたいです。

 

—今後、実施していきたい活動はありますか?

気候不安はもちろん、社会運動にかかわる全ての人のために、持続可能に誰もが声を上げやすくなるようなメンタルケア情報を、OUR ANXIETYの活動を通じて発信していきたいです。OUR ANXIETYのInstagramアカウントは、アクティビストという人以外にも、社会問題に関心がある人がフォローしてくださったら、役に立つ情報があると思います。そして現在、気候不安の研究をしていまして、今後アクテビティストのみなさんに調査させて頂きたいと考えていますので、引き続きフォローして頂けたら嬉しいです。

 

—最後に、まだ活動していないけれどこれから活動してみたいと思っている人へのメッセージがあれば、教えてください。

大変な部分も確かにあるので、「こっちおいでよ!」と気軽に言えない部分もありますが、是非活動する側(こっち側)に来てほしいです。社会に対して疑問を持った時、周りを見渡してみたら孤立しているなと思う経験があるかもしれないけれど、「これ、おかしいんじゃないかな?」って立ち止まった時に、手を差し伸べてくれる人は見えにくいだけで実はいるので、声をかけて頂ければ嬉しいです。オープンなアクティビストの人達は沢山いるので、あなたは1人じゃないよって伝えたいです。

 
 

【質問】MASAさんってどんな人

アクティビストの人物像や意外な一面を知るために、3つの共通質問を用意しました。

★苦手なこと
・数字が苦手。計算は電卓がないとできない。
・料理。
・じっと座っていること
・水泳。サーフィンはやるけど、板がないとダメ。

★影響を受けた作品や人
There’s Something in the Water(そこにある環境レイシズム

★子どもの頃になりたかったものは?
ドラえもん。のほほんとした感じや、泣いて塗装がはげるようなダメなとことが好き。なんでもできるところよりも。ドラえもんズのなかでドラえもんが一番ダメダメで人間らしいと思った。